台湾はリノベーションが非常に上手いと昨日の記事でも書いていますが、古い建造物や街並みの保存も多く行われています。
↑ ↓ 台北郊外、豆腐の街と呼ばれる深坑老街。
台鐵台中駅や高雄駅、台中の第二市場、台湾各地にある老街(台北郊外の深坑老街、淡水老街、新竹郊外の北埔老街、台南の新化老街、安平老街、高雄の新濱老街、旗山老街)などなど。歴史的価値から保存されているものもあれば、まだまだ現役で稼働している建物や街も多くあります。
↑ 新竹郊外、東方美人茶と干し柿が名産の北埔老街。
↑ 台南郊外の新化老街は、バロック様式の美しい建物が並んでいる。地瓜(サツマイモ)が特産品。
↑ そんな古い建造物で印象に残っているものの一つに「旗山駅」がある。高雄からバスで小一時間、こじんまりとしたバナナの街・旗山老街にある「旗山駅」は、和洋折衷の設計が採用された瀟洒な駅舎。台湾糖業鉄道の旗尾線の駅の一つであり、1910年に供用開始となった駅です。
旗尾線は当時、東港がある高屏渓河口から約20km上流に位置する九曲堂駅を始発駅としています。九曲堂駅は、現在の大樹區、高屏渓を渡るとすぐ屏東となる場所に位置する街です。今も台鐵の九曲堂駅があり、当時は旗尾線が接続していたそうです。旗尾線は、その九曲堂駅から29号線沿いを内陸の方に進み、佛光山を経て、旗山駅そして美濃駅、終点である竹頭角駅までを結ぶ、全長39.4km・全22駅の路線です。
↑ GoogleMapに駅の地点を記してみましたが(地名で検索しているので、多分ここらへんでしょう、という位置です。)、なんとなくではありますが、当時のルートが見えてきました。
そもそも台湾糖業鉄道はサトウキビやその製品の輸送を目的とした、産業用軽便鉄道として整備され、最盛期には専用線路が約2300km、営業線路が約630km、合計約3000kmもあり、当時の台湾縦貫鉄道の3倍近い延長があったそうです。また、一日の利用者も約6万人もいたそうで、住民にとって重要な移動手段であったことが伺われます。
旗尾線は台湾糖業鉄道の路線の一つで、1912年(大正元年)に全線開通し(旗山駅は1910年に開通)、旗美地方の物産交流、砂糖やバナナ、旅客の輸送に重要な役割を果たしていたそうです。ただ、多くの路線があった臺灣糖業鉄道は、台糖の業績不振や他の輸送手段が整備されるにつれ、徐々に縮小され、1982年の嘉義線の廃止により旅客営業は終了しているそうです。(一部は観光鉄道としての活用が、また2路線はサトウキビ運搬としての活用が現在もされているそうです。)
日本でも沖縄県では戦前、台湾同様サトウキビの運搬用に軽便鉄道が走っている時期がありました。現在は無くなってしまい、名護市のネオパークに観光列車として残っているだけですが・・・。
100年以上の歴史がある旗山駅ですが、駅舎は現存しており、高雄市政府文化局が修復を行い、2016年4月に「糖業鉄道」をテーマに糖鉄故事館として開館されています。駅舎内には展示スペースがあり、屋外には当時旗尾線を走っていた蒸気機関車と客車が展示されているとともに、カフェスペースもあります。
高雄の旧・高雄港駅にも蒸気機関車が展示されていますが、旗山駅にある蒸気機関車は軽便鉄道用の機関車の為、かなり小型の機関車が展示されています。因みに購入価格は276,776元と日本円にして約100万とかなり安かった模様。
↓ 併設されている客車は、当時の走行中の音や振動を体感できるようになっています。客車もとても小さく、座席に向かい合って座ると、すぐ目の前に向かいの人がいるような大きさとなっています。客車に乗ることもでき、当時を再現したガタン、ゴトンと音や振動は、なんともほのぼのとして、当時この汽車で多くの人が移動していたのかと思うと、不思議な感じがします。
旗山では、台湾でも現在は限られたところでしか見られない蒸気機関車を気軽に見学できる他、旗山老街もあるため、この方面を観光する場合はお勧めの場所です。
↑ バロック様式の建物が青空に映えて美しい旗山老街。
↑ ↓ 旗山老街散策中に食べた、マンゴーかき氷やバナナシフォンケーキ、
↓ キウイジュースなど。写真はないがバナナアイスクリームも美味しかった。
旗山老街自体はとてもこじんまりとした老街なので、よほどのんびり過ごさない限り、山の上にそびえ立つ孔子廟に行かない限りは2~3時間程度時間をとれば十分に観光できます。
↑ 山の上にある高雄市孔子廟
せっかく旗山まで足を延ばしたのであれば、まだ行ったことはないですが、その先の美濃も紙傘や客家料理など客家の伝統文化に触れられる街なので、両方訪れてみたらいいかなと思います。
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